が。
そうそう簡単に忘れられるはずもなかった。
犬というよりきっと存在としての出逢いを感じていたんだな。
のりおを目の前にすると、可愛い犬という感覚がまるっきりなかった。
犬と暮らす、という事に関して、
私の中ではほんとうに将来的に、いつか自分の家族の中に、
家族として犬を迎えられたらいいな、という理想だけはあったけど、
このタイミングでこんな出逢いがあるとは思わなかった。
「次、行ってみて、もういなかったら、きれいに諦められるなー。」
とか、
「寂しいけど、もう素敵な家族が決まっていますように。」
なんて、
会いに行きながら矛盾しているけど、こう思いながら会いに行く。
ところが、
行っても行っても、行く度に まだいる のだ。
『まだいるんだね』とガラスに向かって何度言っただろうか。
帰りの電車で悶々とする日々を繰り返し、
結局それを約1ヶ月もの間、続けた。
要するに、その約1ヶ月の間、のりおも家族が決まらず、家族を待ち続けた。